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第32回バソプレシン・オキシトシン研究会を終えて

第32回バソプレシン・オキシトシン研究会は、例年通り、年が明けてすぐの令和5年1月7日(土)に、東京大学弥生講堂の一条ホールにて開催されました。ここにご報告申し上げます。

Covid-19の影響により一昨年は延期、昨年は尾仲先生と有馬先生のご尽力によりWEB開催されました。昨年も8月の第7波がいったんおさまったものの、年末には再び第8波と感染が拡大し、開催できるか緊張の日々でした。研究会の名称が「バソプレシン・オキシトシン研究会」となってからの初めての会であり、是非とも対面開催をと願っておりましたので、多くの参加者にお越しいただき無事開催できましたこと、安堵しております。一般演題では計10題が発表され、その内容も基礎から臨床まで、バソプレシンとオキシトシンに直接あるいは将来関連するであろう内容、対象も魚類からヒトにいたる幅広いものでした。研究奨励賞の選考も大変でしたが、自治医科大学医学部生理学講座の岡部祥太さん、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の原悠さんが受賞されました。おめでとうございました。

ミニレクチャーには、名古屋大学医学部附属病院の萩原大輔先生をお招きし、バソプレシンニューロンとバソプレシン分泌異常症について、家族性中枢性尿崩症モデルマウスの解析の基礎研究から、中枢性尿崩症の新たな診断基準やトルバプタンの使用実績といった臨床まで、幅広い知見と研究内容をわかりやすく解説いただきました。また、特別講演には日本大学生物資源科学部の鈴木美和先生をお招きし、イルカの腎臓と体液調節の全体像についてご紹介いただきました。陸上生活に適応した哺乳類が再び海に戻ったことにより、どのような体液調節が必要となり、バソプレシンや腎機能がどのように貢献しているのか、比較生物学的な観点からあらためてバソプレシンとオキシトシンを考える、様々な示唆をいただきました。

興味深いご発表を直接拝聴できたこと、そして活発な議論をしていただけたこと、対面で研究会を開催することの良さをあらためて感じました。初めて当番世話人をお引き受けし、不安ばかりの開催ではありましたが、名古屋大学の皆様のご支援もあり、滞りなく研究会を終えることができましたこと、感謝申し上げます。また来年の早春に一条ホールにて皆様にお目にかかれますことを楽しみにしつつ、ご報告とさせていただきます。


第32回バソプレシン・オキシトシン研究会 当番世話人
東京大学大気海洋研究所 兵藤 晋